恋人同士の喧嘩、というものがいまいち理解できていない。
妹とはよく喧嘩していたが、あの程度のくだらないことを恋人とするのだろうか。大好きな人と？
中には話し合いのことを喧嘩と呼ぶ人もいるようだが、喧嘩と話し合いは違うと思う。喧嘩がお互いの考えや意志のぶつけ合いだとしたら、話し合いは意見の交換だ。同じようで全く違う。
小さい頃から自分の意見をはっきりいうように育てられてきた私は、話し合いに抵抗がまるでない。怒られている時でさえ「言い訳をしろ！」と言われ続けできたのだから、自分の中にある理屈は丁寧に伝える癖がついている。
しかし、私の思っていたよりもそれを嫌う人は多いのだ。
特に恋人同士で話し合いをせずに拗らせている話はよく聞く。よく話し合えばよさそうなものの、どちらか、またはどちらもが話し合いを面倒で、別れに繋げるものだと思っているパターンが多い気がする。
恋人同士でもあくまで他人だ。価値観なんて一致するわけがない。
それでも一緒にいたいなら、擦り合わせるしかないのだ。どちらかが我慢するのではなく、擦り合わせる。お互いの許せるラインまで問題をおろしてくる。地道で大変かもしれないが、一緒にいたいならそうするべきではないだろうか。
正直、家族だって「血がつながっている」だけである。
親や兄弟と1日中、一生過ごすわけでもあるまい。学校や会社で異なる環境と触れ、自分ができていくと考えれば他人ともさほど変わらないだろう。
話し合いで一番大事なのはお互いが問題の根底までしっかり探ることだと私は思う。
「私と仕事のどっちが大切なの？！」「どっちもに決まってるでしょ？！」
とはじまった話なら（あまり現実では言わないかもしれないが）、言った側はどうしてそれを言ってしまったのか、寂しいからなのか、それはいつ生まれた感情なのか、そして言われた側は、それぞれどんなふうに大切なのか、どういう向き合い方をしていきたいのか。
話し合えば、もしかしたら、デートのドタキャンがどんなふうに仕方なかったのかが伝わるかもしれないし、週一の電話タイムを設けることで寂しさが減って解決する話かもしれない。
同じやりとりでもカップルの数だけ解決方法があるだろう。
だから話し合いをしなくてはいけないのだ。
大事な人なんでしょ？だからイライラしたり、悲しくなったりするのでしょ？
自分の気持ちを言葉にする、相手の気持ちに耳を傾ける。
難しいけど頑張る価値のあるものだ。
戦争のことを国同士の話し合い、とは言わない。
あれは喧嘩なのだ。
せっかく豊かな言葉に恵まれた人間に生まれてきたのだ。
使わなくてはもったいない。
大事な人と一緒にいるために、しっかり言葉を紡いでいきたい。
